山口尚秀、パリのリベンジを果たし金メダル
日本チームに大会初の金メダルをもたらしたのは、男子100m平泳ぎS14(知的障害)に出場した山口尚秀(四国ガス)。山口は大会新記録(1分03秒36)をマークして優勝を果たした。

昨年パリ大会では直前の怪我の影響により3位に終わり、パラリンピック2連覇を果たせなかった悔しさをバネに練習し、今回のリベンジをめざし成功した。山口は、この大会に向けて、4月のIPCワールドシリーズ(静岡)と8月の知的障害の国際大会で自身の持つ世界記録(1:02.53)を更新して挑んでいる。



「今回は、いつもより緊張していました。金メダルをとらなきゃって気持ちが強かった」と心境を明かした。そして、「本番にも強くなれるよう練習のほうもするし、この大会を経験に次もがんばっていきたい」パリのリベンジについては「もう、そこを意識していた」と語った。隣のレーンを泳いでいたパリ大会2位のジェーク・ミシェル(MICHEL Jake/AUS)について、「横から見るとダイナミックな動きだなって」と冷静に分析した。
辻内彩野、銅メダルを獲得

女子50m自由形S12に出場した辻内彩野(三菱商事)は、28.05秒をマークし、銅メダルを獲得した。辻内はパリ大会直前のクラス分け変更に戸惑いながらも、1年を経てすっかり新しいクラスに馴染んだ。「モチベーションがあがった」と述べた。

4×50mメドレーリレーで日本新記録を樹立
混合4×50mメドレーリレーには、鈴木孝幸(GOLDWIN)をリーダーに、田中映伍(東洋大学)、西田杏(シロ)、由井真緒里(ZENKO)が出場した。パリ大会から続くメンバーで臨み、2分45秒71の日本新記録をマークして5位に入った。順位をパリ大会の7位から上げ、目標としていた日本新記録の更新を果たした。
「日本記録(=パリでの記録)を更新することを目標にぶれることなく挑みました」と西田は語った。このチームで来年のアジアパラを戦うことになるだろう。世界で戦うチーム力をつけることが課題となってくる。




鈴木は、「リレーでメダルをとるには、希望としてチームに3人以上のメダリストが必要になってくる。この4人だと今のところ私しかメダリストがいないので、他の皆さんに個人種目でしっかりとメダルを狙えるくらいの実力を(僕が引退するまでに)つけて欲しい」と話していた。
また、芹澤美希香(宮前ドルフィン)がメインの女子100m平泳ぎS14(知的障害)に出場し、予選で今年初めて19秒台を出した。「長く破れなかった20秒の壁を破り、とても嬉しかった。この間皆さんに相談して練習してきたことが活かせました」と伝えてくれた。

男子50mバタフライS5に出場した田中映伍、男子100mバタフライに出場した川渕大耀(NECグリーン溝口)はメダルには手が届かなかった。
シンガポールの宝・Yip Pin Xiu


地元のヒロイン、世界記録保持者のイッピンシューがメインの女子100m背泳ぎS2に出場。優勝を期待されており、予選では1位となったものの、決勝でロシアのダイアナ・コルツォワ(KOLTSOVA Diana/NPA)選手に敗れた。アジアパラへの参加の可能性は「状況による。日本での大会は素晴らしいものになるでしょう」と話していた。
(写真取材・秋冨哲生 校正・小泉耕平)






