公開: 2025年11月19日 at 6時00分 — 更新: 2025年11月19日 at 2時54分

【ゴルフ】静寂の自然を舞台にした自己との戦いを制するアスリートたち

知り・知らせるポイントを100文字で

東京2025デフリンピック、ゴルフ個人戦がスタート。男子;前島博之・渕暢之・袖山哲朗、女子;辻結名・中島梨栄の5名が出場した。

きこえない・きこえにくい人の間で競われるゴルフ、デフリンピックでは競技中に補聴器など聴覚補助装置の使用が一切禁止されている。

風の音や打球音、キャディとのコミュニケーションも、ボールがカップインする音も聞こえない「静寂の世界」だ。アスリートたちは、視覚と研ぎ澄まされた集中力を武器に、静かな熱い戦いを繰り広げる。

デフリンピック・ゴルフが11月18日若洲ゴルフリンクス(東京都江東区)で初日を迎えた。

元デフリンピック陸上日本代表の前島博之(県立鳥取聾学校)の豪快なスイングから放たれるティーショット。けたたましい音とともに飛距離は300ヤードを超える。 写真・川村翼

 

魂を込めた前島のアイアンショット。 写真・川村翼

 

残り100ヤードのアプローチをピン横1.5mに寄せ、渾身のバーディパットを沈めた前島。 写真・川村翼

 

学生時代に松山英樹選手とともに優秀選手アワードに選ばれたこともある、袖山哲郎(ドーム)の柔らかなアプローチショット。 写真・川村翼

 

キャディとラインの確認をする袖山。パターのみレフティ(左利き)なのは数えきれない試練を乗り越えた証。袖山は日本デフゴルフ協会の事務局長も務める。 写真・川村翼

 

空にかかる虹に向かってティーショットを放つ辻結名(日本大学)。2024年第14回世界デフゴルフ選手権女子の部では堂々の3位に入賞している。 写真・川村翼

 

数ミリ単位の傾斜を読む中島梨栄(APRESIA Systems)。デフリンピック女子サッカー・フットサル出身。2009台湾デフリンピックに初出場した日本代表を描いたドキュメンタリー映画「アイコンタクト」にも出演した。フットサルで鍛えた下半身を駆使しゴルフを始めて5年で代表にまで上り詰めた明るい性格の選手だ。 写真・川村翼

 

明るい雰囲気の日本代表チーム8人 写真・川村翼

 

初日の女子個人戦では、東京オリンピックやパリオリンピックでインド代表として活躍をしたディクシャ・ダガー(DAGAR Diksha;IND)が圧倒的なパフォーマンスを見せ、トータル68、4アンダーという傑出したスコアで単独首位に立った。日本勢では、辻が健闘し、8オーバーの80を記録し、8位タイという好位置につけている。もう一人の日本代表、中島は14オーバーの86で14位という結果だった。

男子個人戦では、デフリンピック3連覇を狙うアレン・ジョン(JOHN Allen;GER)が素晴らしいプレーを披露し、トータル66の6アンダーをマークして首位に立ち、後続に大きな差をつけた。日本勢では、前島が4オーバーの76で10位につけ、トップ10入りを果たした。また、袖山は11オーバーの83で22位タイ、渕暢之は13オーバーの85で25位タイとなった。

長い手足に柔軟な筋肉と強い体幹でクラブが身体に強く巻き付くような独特の美しいスイングをするインドのディクシャ・ダガー。現在は世界最高峰の全米女子プロゴルフ協会主催のLPGAツアーを主戦場に戦っている選手だ。 写真・川村翼

 

4日間の戦いが始まった。日本勢がその高い壁を恐れずに立ち向かい、新たな地平を切り拓く姿を見せてくれることを期待している。

(編集・校正 佐々木延江)

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