東京2025デフリンピックの水泳競技が4日目を迎え、デフ水泳のプリンス茨隆太郎(SMBC日興證券)が本命の男子400m個人メドレーに出場。
予選終了後「自信を持って決勝に臨める。友人にも”23個目のメダルを期待していてと話している”」と話したとおり、有言実行の金メダルを獲得した。

茨はこの日の予選で、エントリータイム(4:27.16)を大幅に下回る4:45.32で、余力を残した状態で1位通過。
決勝では2位に7秒近く差をつけ、4:30.20で圧巻のフィニッシュだった。
これで今大会3日連続の金メダルとなり、通算メダル数は23個に伸ばした。「疲れが溜まっていたので無事に400m泳ぎ切れるか心配だったが、自信のない状態で臨むとレースに影響してしまう。満員の観客の力を結びつけることができた。おととい昨日とドーピング検査を受けて睡眠時間に影響しているが、なんと今日も(3日連続で)ドーピングに呼ばれてしまった。睡眠時間が削られる中でもしっかり結果を残していきたい」と話した。
残りの種目は、男子100mバタフライと男子200mバタフライ、男子4×100mメドレーリレー。連日の疲労を吹っ飛ばす王者の泳ぎに期待したい。

男子50m背泳ぎでは、金持義和(メルカリ)が今大会はじめて、27.33で銅メダルを獲得した。
「いいタイムが出ないつらい時期が長かった。今大会でメダルは奇跡に感じた。信じられない気持ち」と話す金持は、メダルの重みについて聞かれると「すごく重い」。
スタンドの応援は「(スタート前に)体で感じることができた」と振り返った。

また、この種目でKLOTZ Matthew James(アメリカ)が世界新記録(25.94)を樹立した。
KLOTZは1996年生まれで、これまで9個の金を含む18個のメダルを獲得しているデフ水泳界のレジェンドだ。
「今は、自分の全盛期ではないし、4年前のようなトレーニングはしていなかった。ここに戻ってくることを決めて、数か月でいろいろ計画してきた。だから、ただ世界記録を出せたというだけでも本当にすごいことなのに、コーチなしで数か月しか練習していない状況でそれができたのは、なおさら驚き。今は、またもう4年間やってみてもいいのかもしれない、できるうちは挑戦し続けたい、そんな気持ちになっている」と話した。

(写真取材・秋冨哲生、取材協力・石野恵子、校正・佐々木延江)






