
3月3日、コルティナJPC村外拠点で行われた大日向邦子団長の会見は、ここ数日の世界情勢への言及から始まった。「世界各地で続く緊張状態や武力紛争により、戦車が出動するような事態に心を痛めています。亡くなられた方々や負傷された方々に、哀悼の意とお見舞いの気持ちを表します」と、平和の祭典を前に悲痛な思いを寄せた。
日本選手団の近況については、全員が無事の到着にむけ気を配っている。しかし、チームサポートスタッフの一部でフライトが欠航など影響が出ている。あらたな戦いが、またしてもこのオリ・パラの中間機会を狙うように始まっている。選手たちは入村後、自分のペースを保ちながら試合に向けて準備を整えている。今回、これまで中立資格で出場していたロシアとベラルーシの選手が国の資格を認められた。

コルティナの選手村は活気にあふれ、食堂も賑わいを見せている。食事はピザやパスタなどの洋食中心だが、「美味しい」という声と「口に合わない」という声で評価が二分されているようだ。全体的に塩味が強い傾向にある。日本選手団には味の素から提供される日本食もあり、選手たちに大変喜ばれている。
また、選手村の構造が細長く「縦の移動」が選手にとって大きな負担となっている点も課題だ。海外勢はセグウェイや車いす用アタッチメントを活用して解決しているチームもあり、見習う必要もありそうだ。
オリンピック同様、広域開催で行われるパラリンピックの開会式について、コルティナでは事前収録が行われた。内容は伏せられている中での撮影に、演出の指示をうける初体験に選手たちはワクワク・ドキドキを抱えて参加した。各国の個性が光る映像作品に仕上がる手応えを感じたという。「本番でどのように使われるのか非常に楽しみ。選手たちはパブリックビューイング会場で、自分が映っている開会式を眺めるという不思議な開会式を体験をすることになる。みんなでワイワイ交流しながら楽しんでほしい」と大日方団長は語った。なお、ヴェローナでの入場行進への参加は選手のコンディションを最優先に決定される。

ロシア・ベラルーシの国としての参加には、賛成・反対の意見が根強い。日本としてはIPCの総会で決定したことには従う。旗の有無に関わらず、選手はパフォーマンスを発揮したいと考えており、誰が相手でもフェアに戦っていて欲しい。戻って来られたということにはリスペクトを持って臨む。長い間戦禍に置かれた彼らが、また、今回イスラエル・アメリカが新たに始めたイラン攻撃では残念ながら多くの死者を生んでいる事実がある。そんな国々のアスリートたちがどうスポーツに取り組み、パフォーマンスを上げているのか。スポーツとは何かにつながる大会となることだろう。
心配される選手の体調について、今季のケガの影響で万全とは言えない選手について説明がなされた。
深夜に到着した村岡桃佳(アルペン)については「自分の力を出し切るため、チームと相談しながら着実に準備を進めている印象」と大日方。
また、スノーボードの小須田潤太や岡本圭司については「ケガへの懸念よりも、まずは選手村での生活を楽しんでいる様子が見て取れた」と安堵の表情を見せた。
今大会、日本代表として具体的なメダル獲得数の目標は設定していない。「選手がベストパフォーマンスを発揮できるよう、スタッフ一丸となってサポートし、選手が力を出し切れる環境を整えるのみ」と団長としての覚悟を口にした。それは今大会のポリシーである「あなたらしさ」に応えるあり方といえる。
コルティナに聖火が届く
この日、同じコルティナの市街ではトーチが到着した。3時間に及ぶ老若男女イタリア人ファンは、トークショーやダンスミュージックに合わせて踊り、応援用のニット帽を投げ配るパーソナリティの盛り上げに時を忘れて興じていた。

いよいよ開幕まで3日となった。磨き上げた技術をパラリンピックという最高の舞台で、思う存分発揮してくれることを願う。
(取材・編集 佐々木延江、そうとめよしえ)






