2026年5月16日・17日、今年も横浜・山下公園で開催されたパラトライアスロンの舞台に、競技の枠を超えて「サッカーとの二刀流」で挑む3人のアスリートが出場した。 サッカーの世界選手権出場を決めながら、ロサンゼルス2028パラリンピックを目指す2026年パラリンピック・タレント育成選手の金子慶也(三菱オートリース/千葉・アンプティサッカー)と竹内真子(大阪府トライアスロン協会・ブラインドサッカー)。加えて、生涯スポーツとして挑み続けるベテランの新井誠治(アンプティサッカー)だ。
それぞれ異なる目標を持ちながら、パラトライアスロンの舞台を疾走した彼らの姿は、パラスポーツの多様な可能性を体現していた。
金子慶也(下肢障害):PTS4のエリートに出場
大会1日目、エリートカテゴリーに登場したのは、アンプティサッカーで日本代表の金子慶也。PTS4クラス(上肢など中等度の障害)には、パリ2024パラリンピックの金メダリストをはじめ世界のトップ選手が出場している。
「スイムで遅れて苦しいレースにはなったが、自分なりのレース、特にランは今回の難しいコンディションの中では悪くない走りができた。今日の高速レースで海外勢のバイクが早く離されてしまうところがあった。結果としては悔しいが、次につながるレースができたと思う」結果は8人中7位(1時間3分46秒)。



今後は、アンプティサッカーW杯2026(メキシコ)での活躍と、ロサンゼルス2028パラリンピックへの出場に向け、来年から始まるクオリティケーション(パラリンピックに向けら出場権獲得のためのポイントレース)に向け今年中に世界ランキング10位以内に入ることを目標に掲げている。

竹内真子(視覚障害):エリート・エイジ出場
ブラインドサッカー女子日本代表との二刀流で挑戦している竹内。今年4月に行われた、IBSA ブラインドサッカー女子アジア選手権 2026 in うめきたで優勝を果たし、来年行われる世界選手権への出場権獲得に大きく貢献した。それから1ヶ月あまりで巌淵知乃ガイドとともにエリート(PTVI:視覚障害)・エイジ(TRI6:視覚障害)に二日連続で出場した。エリートでは、出場8選手中6位の1:13:04。疲労の残る中挑んだエイジTRI6(1名出場)では、1:18:32となった。エリートパラの詳細記事はこちら
エイジパラ終了後のインタビューで、「昨日キルギスの選手に粘り負けしてしまったので、今日は粘りで頑張った。スイムとランはしっかりと、バイクは昨日ガイドと息が合わなかったところを修正した。ランは突っ込みすぎないようにガイドにも確認しながら走った。途中タイムが下がったが最後は上げられたので良かった」と語った。今回初めて組んだ巌淵知乃ガイドは「トランジションを丁寧にやっていこうと話して、実行した。ランも昨日よりは落ちたけど、最後までガッツで頑張ったのは良かった」と竹内を褒めた。




ブラインドサッカーとトライアスロンについて竹内は「両方とも激しく動く競技。ブラサカはアイマスクをしながら認知の部分を、トライアスロンは心拍を維持して走ることを強化している。これが両方にとってのメリットだと思っている」と話した。トライアスロンでロサンゼルス2028パラリンピックへの出場を目指して世界を転戦していくことを優先としつつも、ブラインドサッカーのワールドグランプリや世界選手権にも出場を検討しているとした。

新井誠治(下肢障害):制限時間内に完走果たす
エイジグループ(一般参加者)では、アンプティサッカーチーム「FCアウボラーダ」に所属する新井誠治(TRI2=切断者等)が出場した。日本選手権5連覇中の強豪チームのベテラン選手だ。今回のレースは、1:55:34で制限時間内に完走した。
「自己ベストを狙っていたものの、途中で制限時間内に完走することに切り替えた。去年苦労したスイムについては、愛知県まで出向いてウェットスーツを新調したおかげで、気持ちよく泳ぐことができた。バイクについてはイメージ通りの走りができなかったのは残念。毎年現状維持することが大変だが、行けるところまでは続けていきたい」生涯スポーツとして今後とも取り組んでいくことを誓っていた。






世界の頂点(LA2028)を見据えて限界に挑む若きトップアスリート、金子慶也と竹内真子。そして、自らのペースで情熱を燃やし続けるベテラン、新井誠治。それぞれ異なる目標を胸に横浜のスタートラインに立った彼らに共通するのは、「サッカー」と「トライアスロン」という二つの世界で挑戦を続ける圧倒的なバイタリティだ。
単一の競技に縛られることなく、複数のスポーツを自由に、そして全力で楽しむ彼らの姿は、パラスポーツの未来に「二刀流」という豊かな選択肢があることを示している。スイム、バイク、ランという3つの要素を持つトライアスロンだからこそ、その可能性は無限に広がっていく。 障害の有無や世代を超えて、何かを始めようとするすべての人にとって、この横浜で3人が見せてくれた躍動は、「自分だけの新しい一歩」を踏み出すための大きな勇気となるはずだ。
(校正・佐々木延江)






