2026年10月19日、愛知県豊橋市総合体育館で行われた第5回アジアパラ競技大会のゴールボール男子予選ラウンド、タイ対日本(オリオンJAPAN)。第一戦は8-8のドロー。これまで公式戦で一度も日本に勝ったことがないタイにとっては善戦といえるだろう。完全アウェイのコートで、パラリンピック王者・日本を抑え込んだのは、タイ代表の背番号5、チョンラティ・スクチュム(Chonlathi Sukchum)のスクチュム選手を司令塔とした3人のメンバーによる連携守備だった。


ゴールボールは視覚障害のある選手がアイシェードをつけ、3人で自陣ゴールを守りつつ、相手ゴールにシュートを決めるスポーツ。鈴の入ったボールの音や、ボールを投げる時の足音などを聞いて、瞬時にボールの軌跡を判断する。また、視覚障害の度合いによって選手のクラスに違いがあり、B1(全盲)、B2、B3(弱視)に分かれている。B2クラスのスクチュムは、この日もタイ守備陣の要としてセンターポジションへ。日本の精緻かつ多彩な投球アプローチに対し、研ぎ澄まされた聴覚と高い反応スピードで対応した。ボール内部の鈴の音と床を叩く音を瞬時に聴き分け、自ら全身を投げ出して幾度となく決定的なピンチを防いだ。
彼の粘り強い守備があったからこそ、タイの攻撃陣はリスクを恐れず強烈なスローを叩き込み、日本と渡り合った。王者・日本を相手にタイの「壁」として堂々と立ち塞がった背番号5の存在感を十分に見せてくれた。
8-8の引き分けという最終結果について、「過去に日本と対戦して一度も勝ったことがないため、引き分けという結果にはとても満足している」「3ヶ月前から日本戦に向けたトレーニングプランを立て、日本のプレー映像を分析した結果をもとに練った戦略、焦らずじっくり進めるスローペースな展開を徹底できた。今日の戦いぶりについては、チームが一丸となって互いに声をかけ合い、支え合ってプレーできたこと、さらに選手とコーチ陣が一つになり、常に情報共有とサポートをし合えた成果だと感じている」とスクチュムは振り返りながら語った。そして、大会の雰囲気や会場については「日本人の優しさや暖かさを嬉しく思いました。また、ホスト国としてアスリートが全力で活躍できるような素晴らしい機会を提供してくれた日本の関係者にお礼をいいたいです」と笑顔で語った。

今大会のタイの目標は準決勝進出。6カ国(日本/タイ/カタール/イラン・イスラム共和国/中華人民共和国/大韓民国)が出場しており、総当たり戦の予選ラウンドの戦績は記事を執筆している20日時点で1勝2敗1分けで5位。21日に行われる大韓民国との試合に勝利すれば得失点差で準決勝進出の可能性も残っている。見事準決勝へ駒を進めれば、上位4チームによる決勝トーナメントを経て、メダル獲得(3位決定戦または決勝)への道も開かれてくる。スクチュム率いるチームタイからまだまだ目が離せない。
第5回アジアパラ大会公式サイト 5th Asian Para Games 2026 – Aichi Nagoya 2026
ゴールボール予選リザルト 5th Asian Para Games Aichi-Nagoya 2026
(校正 田中綾子)






