関連カテゴリ: サッカー, ブラインドサッカー, ブラインドサッカー/東京2020, ブラサカトップ, 取材者の視点, 東京, 東京パラムーブメント — 公開: 2021年8月29日 at 5:35 PM — 更新: 2022年3月9日 at 4:46 AM

「ブラインド・サムライ」ブルーのユニフォームでフランスに4点差勝利!

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 8月29日、サッカー日本代表サムライブルーと同じユニフォームを身に纏い、GLIM SPANKYの“NEXT ONE”が流れるなか、GK佐藤大介を先頭に、佐々木ロベルト泉、田中章仁、川村怜、黒田智成のフィールドプレーヤー4人、ガイドの中川英治が入場してくる。
控室で「緊張している奴はいるか」と監督が問うと、全員が手を挙げたという。国家斉唱で最初はテンポが合わなかったのはそのためだろうか。
(“NEXT ONE”は、ブラインドサッカー日本代表の公式ソング)

サムライブルーと同じユニフォームで キックオフを待つ選手たち  写真・中村”Manto”真人

 だがフランスとの対戦が始まると、選手たちは落ち着いたプレーを見せる。5月に対戦した試合では、日本は立ち上がり早々相手陣内に攻め込み川村がゴールを決め勝利したが、この試合では守備から入り、まずは相手の様子を見る。キャプテンでエースのフレデリック・ヴィルルはどういうポジション取りをするのか。相手にボールを持たれるというより、持たせた形となる。
 そして3分を過ぎたところで、歓喜の瞬間が訪れた。黒田が相手からボールを奪いショートカウンター、ゴールキーパーと1対1となり、左足でゴールネットを揺らした。これまで予選での敗退が続きつらい思いをしてきた黒田。そして多くの支援を受けてきた恩に報い、「ゴールをプレゼントするよ」という特別支援学校の生徒たちとの約束を果たすゴールでもあった。
だが黒田はそれだけでは終わらない。5分後、左コーナーキックから相手に渡ったボールを黒田が奪い、今度は右足でゴール左隅に蹴りこみ2-0とリードを広げる。

先制のゴールネットをゆらす黒田智成  写真・中村”Manto”真人

 フランスは何とか追いつこうとババカル・ニャンやヴィルルが日本陣内に攻め込むが、フィールドプレーヤーの4人がダイヤモンド型の守備陣形を自在に伸縮させて自由を許さない。
 そして前半終了間際、フリーキックから川村怜が小さなテークバックから素早く右足を振りぬき、ゴールキーパーの股を抜き3-0で前半を折り返す。後半には佐々木ロベルト泉の突進から得たPKを川村が決めた4-0と初戦の勝利を飾った。

川村玲がPKを決める  写真・中村”Manto”真人

 この試合ではリードしたこともあり、全選手のなかでの最年少で高校3年生の園部優月、黒田と長年辛苦をともにしてきた佐々木康裕や寺西一も交代出場、選手たちのポジションも刻々と入れ替わったが、しっかりと声をかけあって混乱することもなく、フランスに得点を許さなかった。さらに後半終了間際には日向賢、ゴールキーパーの神山昌士もピッチに立ち、登録選手全員が出場を果たした。
幸先よいスタートを切った日本。明日は王者ブラジルとの対戦を迎える。

そのブラジルは、第2試合で中国と対戦。中国はブラジル相手に激しい守備をみせ、ブラジル選手にシュートまで持ち込ませない。一人、二人が抜かれても最後尾の刘猛(リイゥ・モン)がストップする。リカルジーニョも「なかなかドリブルするチャンスがない」と感じていた。
だが前半15分中盤右サイドでフリーキックを得たブラジルは、リカルジーニョがドリブルで中央へカットインしゴール前に迫る。足元に吸い付くようなドリブルを、中国はファールでしかとめられない。ゴール前で得たフリーキックをノナトが蹴りこみ、ブラジルが先制。
後半4分過ぎには中国のゴールキーパーがエリア外のボールに触れてしまい、ブラジルにPKが与えられる。ブラジルはディフェンダーのカッシオが右隅に強烈なシュートを蹴りこみ2-0とした。だが中国の選手は、足がつりそうになりながらもブラジルゴールに迫る。

リカルジーニョのドリブルはファールでしか止められない  写真・中村”Manto”真人

 そして、ブラジルにスーパーなゴールが生まれる。右コーナーキックの流れからリカルジーニョがゴール前にクロスを入れ、ゴール前でノナトがダイレクトで合わせゴールネットを揺らした。晴眼者のサッカー、フットサルであればよくあるゴールだ。リカルジーニョも「簡単ではない」という。何度も練習を積み重ね、ゴールを決める直前にもゴール前にボールを送ると伝え、正確なクロスをノナトに送ったからこそのゴールだった。

 試合はブラジルが3-0で勝利し勝ち点3、第1戦終了時では日本が得失点差でグループAの首位となった。 日本は明日30日、そのブラジルと対戦する。スーパーな選手が何名もいるブラジル相手には、守備から入らざるを得ない。
「チャレンジャーである日本は、まだ何も成し遂げていない。明日はスーパーな相手だが、ボールはひとつしかない。ボールとゴールの間に体を入れ続けます」と田中章仁は力強く語った。
 キックオフは11時30分、熱い試合になりそうだ。

グループA 日本 vs フランス

試合結果

チーム前半後半ゴール
日本314
フランス000

4 - 0
フルタイム

グループA ブラジル vs 中国

試合結果

チーム前半後半ゴール
ブラジル123
中国010

3 - 0
フルタイム

グループA 順位表

順位チーム試合得点失点得失勝点
13300110119
232013306
3310246-23
4300309-90

(校正 望月芳子)

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