女性初の難民アスリートがパラリンピック出場で伝えたいこと

 東京パラリンピックで、女性初の難民アスリートが誕生した。陸上競技の女子こん棒投げで、脳性まひなどの障害を持つF32クラスに出場したシリア難民のアリア・イッサだ。20歳の彼女は、パラリンピック史に新たな歴史を刻んだ。

女子こん棒投げのF32クラスに出場した女性初の難民選手、アリア・イッサ  写真・中村”Manto”真人

 2016年のリオ大会から誕生した「難民選手団」は、世界で戦争や人権侵害から逃れることを余儀なくされている約8200万人がオリンピック・パラリンピックに参加する機会を得られるよう、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)が連携して結成された選手団だ。東京パラリンピックでは、男子5名、女子1名が、出場の切符を掴んだ。

 8月27日、女子こん棒投げ(F32)に出場したイッサは、3回目の一投で16m33を記録。自己ベストの16m50には及ばなかったものの、目標としていた8位で競技を終えた。「自己ベストに近い記録が出せて満足しています。初めてのパラリンピックに出場できたことも嬉しい」と話し、大舞台を存分に楽しんだ様子だった。

 イッサはシリア人の両親のもと、ギリシャに生まれ、4歳の時に天然痘による高熱で脳に障害を負った。四肢に障害が残るほか、知的障害を抱える。16歳の時に父親をがんで失った後、内戦が続くシリアに戻れず、母と共に難民申請。ギリシャの学校で3年前にスポーツに出会い、2021年世界パラヨーロッパ選手権では、陸上こん棒種目で4位に入賞した。

 初の難民女性パラリンピアンになったイッサは、「私にとっては大きな名誉であり、すべての女性、特に障害を持つ女性のロールモデルになりたい」と話す。スポーツを通じて交友の輪が広がった自身の経験から「家の中に閉じこもらず、ぜひスポーツを実践してほしい。人生が変わります」とメッセージを届けた。

(校正 望月芳子)

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