公開: 2025年7月13日 at 6時56分 — 更新: 2025年7月27日 at 11時57分

栁沢駿成が自己ベスト更新。ポイント制がスタートした──第4回 横浜インクルーシブ水泳の新たな幕開け! 【横浜国際プール】

知り・知らせるポイントを100文字で

横浜国際プールが主催する「第4回横浜インクルーシブ水泳競技大会」が7月12日、開幕。1日目の競技が終了した。2週間後に控えたシンガポール世界選手権への日本代表として選出された栁沢駿成(アクアプロダクト)が最終調整の一環でエントリーし自己ベストを更新するなど好記録が生まれた。

パラ水泳、デフ水泳、マスターズ、そして健常者の競泳選手が同じ舞台で競い、共生社会の実現を掲げた横浜インクルーシブ水泳競技大会は、今大会その意義を深めた。「ポイントシステム」が導入され、障害の有無やカテゴリを超えた「新たな競い合い」が幕を開けた。

男子100mバタフライ予選の競技風景。 写真・秋冨哲生

注目を集めた男子50m平泳ぎでは、2週間後シンガポールで開幕する世界水泳の日本代表・栁沢駿成(アクアプロダクト)が予選で26.95秒の自己ベストを更新し、1位(842ポイント)を獲得した。デフリンピック代表の星泰雅(サムティ)も30.70秒で3位(603ポイント)に入り、カテゴリの垣根を越えた戦いが表彰台に実現した。

男子50m平泳ぎの表彰式。右から1位・栁沢駿成(アクアプロダクト)、2位・岡田裕司(神奈川大学)、3位・星泰雅(サムティ/S15) 写真・秋冨哲生

「決勝は少しタイムが落ちたが、予選で26秒台を出せたのは大きな自信になった。世界選手権前に良い刺激が入った」と栁沢。自身初の海外遠征となるシンガポール2025世界水泳に向けて、順調な仕上がりを見せた。

星も「世界水泳の代表と一緒に競えた経験を、11月の東京デフリンピックにつなげたい」と語り、決意を新たにした。

ポイントで「共に競う」インクルーシブ大会に

今大会で初めて「世界記録との差」を基準にしたポイントによる評価システムが採用された。
健常・デフ選手にはWorld Aquatics(WA)ポイント、パラ選手にはWorld Para Swimming(WPS)ポイントが適用され、記録の絶対値だけではなく、選手の学年や障害クラスを尊重しつつ、お互いに順位を競い合える仕組みとなっている。同様の短水路でのポイント制での大会は昨年「鈴木孝幸杯」がサブプールで行われ、鈴木孝幸との経験をもとに同じ運営メンバーで長水路での大会へと取り組んだ。

女子100m背泳ぎの表彰式。右から、1位・前田恵麻(福井工業大学/S9)、2位・芝怜菜(神奈川大学)、3位・辻内彩野(三菱商事/S12) 写真・秋冨哲生

女子100m背泳ぎでは、前田恵麻(福井工業大学)がクラスS9で790ポイントを記録して1位。クラスS12・現在世界ランク1位の辻内彩野(三菱商事)も722ポイントで3位に入り、障害特性の異なる選手が互いに競い合った。

パラスイマーはワールドシリーズなどで「マルチクラス」、ポイント制のレースの経験はあるが、デフ・健常のスイマーの多くは初めての体験だった。

山口尚秀200mでも世界記録保持者

男子200m平泳ぎで、この種目でも世界記録保持者の山口尚秀(四国ガス)が日本記録(2:18.31=1052ポイント)を更新し1位、大学生と競い合う山口(奥) 写真・秋冨哲生

男子50m自由形

男子50m自由形では、田中映伍(S5、東洋大学)が日本新記録(33.33秒)をマークして888ポイントで1位、ベテランの鈴木孝幸(S4、COLDWIN)が776ポイントで2位と続いた。

男子50m自由形の表彰式。右から、1位・田中映伍(東洋大学/S5)、2位・鈴木孝幸(GOLDWIN)、3位・坪井弘恭(JPSF/S8) 写真・秋冨哲生

大会は13日まで開催され、最終日は、今夏・今秋の世界大会に出場する代表選手らのお披露目が開催される予定。

(写真取材・秋冨哲生)

この記事にコメントする

(Facebookログインが必要です)
記事の訂正はこちら(メールソフトが開きます)