公開: 2025年9月26日 at 18時19分 — 更新: 2025年9月27日 at 16時26分

水が育む、フスナ・ククンダクウェの成長

知り・知らせるポイントを100文字で

東京パラリンピックでウガンダ代表として14歳でデビュー。以来、アリス・タイ(GBR)やジェシカ・ロング(USA)と同じS8クラスのスイマー、フスナ・ククンダクウェがアフリカレコードを樹立した。

シンガポールで開催中の「トヨタ・パラ水泳世界選手権2025」で、ウガンダ代表のフスナ・ククンダクウェ(Husnah Kukundakwe/UGA)が9月24日、女子50m自由形S8でアフリカ新記録を樹立した。東京大会で最年少デビュー(14歳)を果たした彼女は、限られた練習環境を乗り越えながら、着実に力をつけてきた。

女子100m自由形S8を56.55のアフリカレコードでおよいだ 写真・秋冨哲生

「予選も決勝も更新できた」

レース後、フスナは「23日にも記録を出したが予選だけでした。今回は予選と決勝の両方で更新できたので、とても満足しています」と笑顔を見せた。表彰台にはあと一歩届かなかったが、「次はメダルを狙いたい」と力強く語った。

環境の壁と工夫

ウガンダには50mプールが一つしかなく、しかも高額な利用料が課題だ。そのため普段の練習は25mプールが中心で、「25mで練習して50mで戦うのは大きな課題」と話す。それでも月1回の長水路練習を欠かさず、さらに週8回から9回に増やしたトレーニングや種目の多様化で実力を磨いてきた。精神面でも成長し、「今は冷静にスタート台に立てる」と自信をのぞかせる。

障害を隠すことから誇りへ

右前腕がなく、左手にも障害があるフスナは、かつて腕を隠して過ごしていた。しかし今は堂々とプールに立ち、「パリ2024では注目を浴び、それを楽しめました。私の姿がウガンダの人たちが自分を誇りに思うきっかけになれば」と語る。

東京からの歩み

14歳で東京2020パラリンピックに最年少出場を果たしたフスナは、「水は私に自由をくれた」と表現する。以来、障害のイメージを変える存在として注目され、「若い世代に夢を追う勇気を持ってほしい」とメッセージを送る。

学業と未来

高校最終学年を迎え、午前4時起床で練習と学業を両立する日々を送る。将来は小児科医を志し、障害に関する研究にも関心を示す。「予防や早期発見ができるのか知りたい」と語る姿勢には、水泳と同じ情熱が宿っていた。

(写真取材・秋冨哲生 校正・そうとめよしえ)

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