
「東京2025デフリンピック日本選手団 壮行会」が11月7日、都内にて行われ、日本選手団の太田陽介団長や、柔道男子の蒲生和麻、空手女子の小倉涼らが出席した。
デフリンピックは聴覚に障害のあるアスリートが競う国際スポーツ大会で、1924年にフランス・パリで大会がスタートしてから今年で100周年を迎える。日本でデフリンピックが開催されるのは初めて。
柔道・蒲生「音のない世界でも心を通わせることができる」
柔道男子73キロ級に出場する蒲生は「デフリンピックの舞台は私にとって夢であり、挑戦であり、感謝の気持ちを形にする場。(日本選手団で)互いに支え合い、高め合いながら、最高のパフォーマンスを目指します」と決意表明。「音のない世界でも心を通わせることができると信じている。勝利だけでなく、見ている人の心に届く試合をします」と活躍を誓った。

前回大会で初出場ながら空手女子の形と組手で金メダルを獲得した小倉は、二連覇を目指す。「緊張やプレッシャーもあるが、これまで支えて下さった周りの方々への感謝の気持ちを結果でお返しできるよう、全力を尽くします」と意気込んだ。太田団長は「手話が言語であるという認知を広め、聞こえない・聞こえにくい人たちが社会の中で活躍できること、社会をつなぐということで非常に重要な機会」と話し、デフリンピックの意義を伝えた。
2025年、手話に特化した法律も初めて成立
この日の壮行会は、手話を使う人が安心して暮らせる社会づくりを目指す「手話を広める知事の会」とともに開催。先立って行われた総会では、手話をめぐる最近の社会動向や取り組みが紹介された。
国内の手話をめぐっては、今年日本で初めての法律も成立した。6月25日に施行された「手話に関する施策の推進に関する法律(手話施策推進法)」は、学校や大学、職場、地域など、あらゆる社会生活の場で手話を使う人のための環境整備を推進するもので、手話に特化した初めての法律だ。これにより、乳幼児期からの手話に関する相談体制や、手話指導者の育成など、子どもから成人に至るまで切れ目のない施策の推進が期待されている。

全日本ろうあ連盟の石橋大吾理事長は「悲願の法律が成立した。運動を始めて15年間、諦めず進んできた成果だと思う。手話が“福祉”としての範疇をこえて、“人間の権利”であるという考えが浸透していく証でもある」と話し、法律をきっかけに社会が変わっていくことへ期待を寄せた。選手団へは「初めて自国開催になった喜びと責任を感じつつ、今日まで励んでこられたトレーニングの成果を十分に発揮し、悔いのない競技を展開していただきたい」とエールを送った。
手話を使う人にとって特別な年となった2025年。大会後に受け継いでいくレガシーも注目される。第25回夏季デフリンピック競技大会(東京2025デフリンピック)は11月15日から26日まで。世界から約3000人の選手が集い、12日間に渡って21の競技を競う。
(写真取材 そうとめよしえ、編集・校正 佐々木延江)






