公開: 2025年12月1日 at 11時33分 — 更新: 2025年12月7日 at 0時31分

【バレー・最終日】女子、借りを返す2大会ぶりの金。原動力になった「ブラジルでの悔しさ」と「2本目の精度」

知り・知らせるポイントを100文字で

25日に行われたデフリンピック、バレー女子決勝。2本目のトスが冴え渡り、高さのあるトルコに圧勝の金メダル!涙をのんだブラジル大会への思いとは。

25-8、25-21、25-20。圧巻のストレート勝ちだった。
東京2025デフリンピックのバレーボール(駒沢オリンピック公園総合運動場体育館)は25日、女子の決勝が行われ、日本はトルコに勝利して2大会ぶりの金メダルを手にした。

磨き抜いた「2本目の精度」

エースとしてマッチポイントを決めた平岡 写真・秋冨哲生

日本のマッチポイント。トルコの強烈なアタックを主将の梅本綾也華(ミドルブロッカー)がなんとか拾った。
コート外にはじき出されたボールはチャンスボールになるかと思われたが、綾也華の妹・梅本沙也華(アウトサイドヒッター)が走って追いかけ、後ろ向きのアンダーハンドで二段トス。
ボールはドンピシャな位置に上がり、最後はエースの平岡早百合(アウトサイドヒッター)がスパイクを決めて、試合を制した。

胴上げで3回宙に舞った川北監督。自身も元Vリーグ選手で妹は元日本代表の狩野舞子 写真・秋冨哲生

2011年からデフバレー女子日本代表を率いる川北美雪(旧姓=狩野)監督は、「レシーブ練習はたくさん取り組んできたので、どの国にもレシーブ力は負けないという自信は持っていた。でも、2本目が綺麗に上がらないと結局スパイクは決まらないんだと言い続けてきた。今回は、2本目を突き詰めてきたのが上手く実ったのかなと思っている」とラストプレーを振り返った。

涙を飲んだブラジル大会の悔しさ

2022年5月1日~15日に開催された前回のブラジルデフリンピックでは、日本選手団にコロナ感染者が出たため5月11日以降の全競技を棄権する事態となった。
バレーボールのチーム内では感染者はおらず、出場を続けるための交渉を粘り強く続けていたが、控えていたトルコとの準決勝を辞退。
そのため、選手たちにとっては「ブラジルの借りを返す」という思いが一つになっていた。

梅本綾也華(ミドルブロッカー・主将)

レシーブにも奮闘した綾也華 写真・秋冨哲生

ブラジル大会では途中棄権で本当に悔しい結果に終わってしまったので、この悔しさを「思い切りバレーを楽しむ」ということを念頭にプレーにぶつけてきた。
今までいろんな人に支えられてきたので、感謝の気持ちを皆さんに伝えたい。

梅本沙也華(アウトサイドヒッター)

念願の金メダルで、あふれる涙の沙也華 写真・秋冨哲生

ブラジルでは初めてのデフリンピックで意気込んでいたので、本当に悔しい思いをした。待ち焦がれていた金メダルなので、それが取れて言葉にならないくらい嬉しい。
ブラジルは遠くてなかなか日本の応援が来られなかったので、自国開催は本当に力になった。

中田美緒(セッター)

司令塔として多彩な攻撃を仕掛けた中田 写真・秋冨哲生

私は2017年のトルコ大会で金メダルを取っているが、ブラジル大会のリベンジとして今回挑んで、「本当の意味での金メダル」を取ることができた。表彰式では応援してくださった人の顔を見て「世界一になったよ」といい報告ができるなと思うと、感極まって涙が出た。
「本当の意味の金メダル」というのは、これまで勝てていなかったウクライナに準決勝で勝って金メダルを取れたこと。最後まで諦めないプレーを出し切れたので、「諦めなければいつか報われる」というメッセージが多くの子どもたちに伝わればいいなと思う。

優勝したバレー女子日本代表チーム 写真・秋冨哲生

会場は連日の満員御礼

試合中でも外に行列が並ぶほどの盛況ぶり。記者が見渡しても本当に空きがなかった 写真・秋冨哲生

バレーボールの会場はキャパシティの問題もあり、連日入場制限が行われるなどの人気競技となっていた。17時30分から決勝が行われた25日は、朝方から並んでいたファンの姿もあったようだ。
綾也華は満員の応援について、「聞こえなくてもサインエールや応援ダンス、日本の国旗を振ってくれるのが見えたのですごく力になった」と応援の後押しに感謝していた。

(撮影・秋冨哲生 校正・佐々木延江)

この記事にコメントする

(Facebookログインが必要です)
記事の訂正はこちら(メールソフトが開きます)