12月6日、東京アクアティクスセンターで開幕した「鈴木孝幸杯 Swim Fes 2025」初日。山口尚秀(四国ガス)が男子100m平泳ぎSB14において、予選と決勝の2回にわたり、自身が持つ短水路世界記録(1:01.27)を大幅に上回るタイムをマーク(59.97/決勝)し、会場をどよめかせた。今大会は世界記録公認大会ではないため公式記録にはならない「幻の世界新」となったが、そのパフォーマンスは山口の充実した成長を強烈に印象づけた。

「久々に健常者の皆さんとレースができ楽しかった。東京2020大会の後も、こうして綺麗な施設で貴重な経験ができた。(短水路は)ターンが多いので、その動作もしっかりできたことが記録に繋がったと思う。この記録が公認になれたらいいなと思う。どっちかというと短水路のほうが好きかも。短水路で1分を切ったので、長水路でも切りたいなと思います」


山口は、今年4月のIPCワールドシリーズと8月に開催された知的障害のVirtusグローバルゲームズでも長水路で世界新を更新(1:02.53)、翌9月に行われた世界選手権(シンガポール)では金メダルを獲得している。今回、非公認ながら「1分の壁」を突破したことは、長水路でのさらなる飛躍への布石となるだろう。

「鈴木孝幸杯」は、昨年初めて開催された、パラリンピック6大会連続出場の金メダリスト・鈴木孝幸(ゴールドウイン)が企画・主催する短水路大会。ポイント制を導入し、障害の有無によらずメダルを競い合うチャレンジとして始まった。2回目となる今大会は、前回を大きく上回る369人・922種目のエントリーを集めている。
大会は今回から2日間の開催となり、明日7日もオリンピアン、パラリンピアンのほか、先月閉幕したデフリンピックのメダリストなども出場予定。競技だけでなくトークショーなどのイベントも行われる。パラスイマーが提案し、実現していく共生社会への取り組みにぜひ注目してほしい。






