関連カテゴリ: Tokyo 2020, イベント, オンライン観戦会, コラム, トラック・フィールド, 取材者の視点, 周辺事情, 夏季競技, 東京, 義足アスリート, 陸上 — 公開: 2021年8月27日 at 8:42 AM — 更新: 2021年9月9日 at 2:13 PM

義足エンジニア・遠藤謙による「東京パラ注目の義足アスリートの見どころ!(男性編)」

ジョニー・ピーコック選手(イギリス、28歳)

ロンドンパラ100m を10.90で優勝した選手です。5歳の時に髄膜炎で左足膝下を切断し、断端が短く見えるのですが、非常に力強く走るのが特徴です。Ossur社のXtremeという当時の最新ブレードを使い、足を地面に強く叩きつけるようにして進む走り方には当時衝撃を受けたのを覚えています。というのもロンドン以前ではCheetahという比較的軽くて、湾曲の小さいブレードが主流で、走り方も大きく弾むというよりは、足を素早く回すような選手が速く走っているイメージでした。その常識を打ち破り、文字通り力強く走った彼がブレードの走り方の新しい方向性を見せてくれました。

2012年ロンドン パラリンピック100m決勝

その後飛行機が嫌いらしく、世界レベルの大会にはなかなか出てこない選手なのですが、2016年のリオパラリンピックでは上半身がゴリラのように肥大化し、より力強くなった走りを見せつけ、100mを10.81で走り抜け連覇しました。

2016年リオパラリンピック100m決勝

ついでに次の年の世界パラ陸上競技会(世界陸上のパラ版)でも10.75で優勝し、大舞台での強さを見せつけました。この大会はロンドンの競技場がひといっぱいに埋まっていて、彼が紹介された直後の歓声から、彼の人気が伝わってきます。

2017年ロンドン 世界パラ陸上競技選手権100m決勝

そして、しばらく陸上競技から離れたかと思えば、テレビ番組のダンスのコーナーに参戦するという姿も見せてくれました。

日本でも2018年にNHKの超人たちのパラリンピック、WOWOWのWho I am、Netflixの Rising Phenixでも取り上げられ、男子下腿義足のパラアスリートの優勝候補筆頭として挙げられています。

ちなみに超人たちのパラリンピックでは、為末大がイギリスまで行って撮影を行ってきていました。その時、私はインドネシアでアジアパラを観戦していたのを覚えているのですが、為末から送られてきた動画には、彼の足に新しいブレードがついていました。後にこれがOssur社のXcelというブレードであることを知りました。彼はOssur社とは契約をしていないとのことですが、Ossur社は新商品を真っ先に履いてもらう選手の1人として彼にお願いしているようです。通常選手はブレードメーカーと契約して、ブレードの供給をしてもらうことが一般的ですが、ここにも彼の強さが現れているなと感じてしまいました。

我々も2018年に渋谷で行われたShibya City Gamesというストリート陸上で彼を招待し、来る予定でしたが、怪我をしたということでドタキャンされてしまいました。。。

最近のニュースではこのような記事がありました。
https://www.dailymail.co.uk/sport/paralympics/article-9905279/Jonnie-Peacock-Paralympians-paid-500-Olympians-30k-illegal.html

出演料がパラ選手が少ないことや、パラスポーツの今後に関するコメントの後に、東京パラリンピックで100mに出ること、ユニバーサルリレーにも出場すること、今月初旬のレースで10.89のタイムが出ていることが記されています。調子は悪くなさそうですね。

世界レベルの大きな大会には出ていないので、実際に走り方を見ることが少ないのですが、コンスタントにどんなレースでも10秒代を出せる強さを持っているので、今回の大会でも優勝候補の1人としてあげられるかと思います。

| ジョニー・ピーコック | フェリックス ・ストレング | ヨハネス・フロアー | アラン・オリベイラ | シャーマン・グイティ | ミハイル・セイティス | ジャリッド・ウォレス |

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