公開: 2025年9月21日 at 7時53分 — 更新: 2025年9月22日 at 12時46分

パリからLAへ!水が繋ぐ、夢の日々が始まる。パラ水泳世界選手権【前日・フォトレポート】

知り・知らせるポイントを100文字で

シンガポール2025パラ水泳世界選手権(9月21日~27日)の開幕を前に、9月20日「メディア・デー」では、スポンサーのトヨタ所属アスリート及び世界注目のトップアスリートたちが集い、自らの競技への思いや意気込みを語るセッションが開かれた。

シンガポール・OCBCアクアティックセンターで幕を開ける「トヨタ・パラ水泳世界選手権 シンガポール2025(WPSC25)」は、世界75カ国から585名の選手が集結する。パリ2024パラリンピックから1年、ロサンゼルス2028大会へと続く新たなサイクルの第一歩として、国内外の注目を集め、アジア初の歴史的大会としてパラムーブメントの起点となる。

IPCパーソンズ会長と一緒に、ガブリエル・アラウージョ(BRA)、アリス・タイ(GBR)、トウ・ウェイソン(SGP)たち 写真・秋冨哲生

「楽しむことが一番の目標」 — アリス・タイ(GBR)

「スポーツを楽しむことを忘れず、健康を優先するように」と、アリス・タイ(GBR)「東京パラリンピックはコロナ禍で観客が入れず残念だった」と日本開催の苦労を労った。自身は怪我で参加できなかった、日本でレースをしてみたい。」と語る。1日目、400m自由形に出場する。写真・秋冨哲生

パリパラリンピック女子400m自由形SB8銀メダリストのアリス・タイ(GBR)は、「とにかく楽しむことが一番の目標です」と語り、若手選手たちへのメッセージとして、 「スポーツを楽しむことを忘れず、健康を優先するように」と、チームメイトを見守る言葉を口にした。その姿には、先輩としての頼もしさがにじむ。

水が与える「自由」と「喜び」 — ガブリエル・アラウージョ(BRA)

ガブリエル・アラウージョ(BRA)ブラジルのガブリエル・アラウージョ(愛称:ガブリエウジーニョ) 写真・秋冨哲生

ブラジルのガブリエル・アラウージョ(愛称:ガブリエウジーニョ)は「水泳は最大の自律性と自由を与えてくれる」と語る。
生まれつきの障がいを持つ彼にとって、泳ぐことは生きる情熱そのもの。音楽やダンスのリズムとともに、競争の緊張を楽しさに変える。

自分を信じ、愛していることや楽しんでいることのために戦い続ける価値がある— マイケ・ナオミ・シュワルツ(GER)

「私は横浜生まれ」と話す、マイケ・ナオミ・シュワルツ(GER)。S12(弱視)クラスで出場 写真・秋冨哲生

両親が日本で教鞭を取っていたことから、横浜で生まれ、生後2年半は日本で暮らしたことがあるという。「愛していることや楽しんでいることのために戦い続ける価値がある」というメッセージを共有する彼女は、日本の辻内彩野(三菱商事)と同じS12(弱視)クラスで出場する。

「挑戦してみること」 — トゥ・ウェイソン(SGP)

開催国シンガポールのトゥ・ウェイソン(SGP)は、デザイナーでもあり、今回のオフィシャルグッズのデザインにも関わった。  写真・秋冨哲生

地元・シンガポール代表のトゥ・ウェイソンは、シンガポールを代表するS7クラスのパラ競泳選手として、アジア地域におけるパラ水泳の盛り上がりや競技レベルの向上に貢献している。「若く障害のある人々に、とにかく外に出て挑戦してほしい」と語った。
「やってみることで予想を超えた可能性が開ける。挑戦は世界を広げる」と、ホームで戦う喜びと使命感をにじませた。

第2弾はお昼から、アンドリュー・パーソンズ会長も駆けつけて参加。 写真・秋冨哲生

IPC(国際パラリンピック委員会)のアンドリュー・パーソンズ会長も会場を訪れ、「LA2028でメダルを争う新星たちの姿がここにある」と大会の意義を強調。準備に励むスタッフを激励し、練習に臨む選手たちには気さくに声をかける姿が印象的であった。

社会を動かす「水泳の力」

アリス・タイ選手は、ロンドン2012以降の英国社会の変化を引き合いに「障がい者への視線が保護や同情から対等へと変わった」と語る。シンガポール大会もまた、アジアに新しいムーブメントを広げるきっかけとなるだろうと話す。
ガブリエル・アラウージョ選手は「10年後、15年後に世界中で多くの『ガブリエウジーニョ』が活躍することが夢」と語り、次世代への希望を示した。

バックヤードツアー

この日は、テレサ・ゴー(シンガポールのパラリンピックメダリスト、スイマー)による、「バックヤードツアー」も行われ、OCBCアクアティックセンター、VIPエリア、ファンゾーン、観客用バリアフリー設備、チーム準備エリアなど、パーソンズ会長とともに詳しく内覧した。

テレサ・ゴー(シンガポールのパラリンピアン、スイマー)によるバック・ホームツアーで 写真・秋冨哲生
バック・ホームツアーで会場のプールを訪れた、アンドリュー・パーソンズは、選手とのふれあいの機会を見つけると優先していた。 写真・秋冨哲生
今大会のタイトルスポンサーである、TOYOTA主催のメディアデーに集まった、トヨタ所属のアスリートとスタッフ。左から、Antonios Tsapatakis(GRE)、ケニックス・ロー(TOYOTAマーケティングサービス部)、マイケ・ナオミ・シュワルツ(GER)、ジェシカ・ロング(USA)、石橋 ジャジャ(TOYOTAマーケティングサービス部)、トゥ・ウェイソン(SGP) 写真・秋冨哲生

これから7日間の熱戦がはじまる!

(写真取材・秋冨哲生 校正・小泉耕平)

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