公開: 2026年10月24日 at 1時14分 — 更新: 2026年10月24日 at 10時16分

【ラグビー】日本一強から競い合うアジアへ。「シン・車いすラグビー」新たな章の始まり

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アジアパラ競技大会、車いすラグビー日本代表は韓国に惜敗で銀メダル。「日本の若手育成」と「アジアでの競技普及」がテーマとなった今大会で、記者が見たものとは。

愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会の車いすラグビーは10月23日に決勝が行われ、日本は韓国に53ー50で敗れて銀メダルとなった。

日本の車いすラグビーは、リオと東京で銅メダル、パリで金メダルと年々着実に強豪国へと成長し、ファンを増やしている競技の一つ。
今大会は若手育成を目的に、「メンバー12人中10人がパラリンピック経験なし」という布陣で大会に臨み、奮闘ぶりが注目されていた。

今大会初出場のタイは銅メダルを獲得 写真・秋冨哲生

アジアに参加国が足りなかった背景があり、アジアパラ競技大会における車いすラグビーの実施は、2014年の仁川大会以来。日本の競技関係者が普及に奔走し、今回は6ヶ国が参加条件を満たしたが、シンガポール・マレーシア・インドが辞退し、実際には日本・韓国・タイの3ヶ国での戦いとなった。
(関連:【インタビュー】日本代表選手団団長・三阪洋行氏~アジアパラの手応えと「シン・車いすラグビー」の幕開け)

予選は3ヶ国の総当たりで行われ、若手主体の日本は韓国に2敗、タイに2勝とし、2位通過で決勝へ。
23日の決勝では日本のエースで今大会のキャプテンを務める橋本勝也(3.5/TOHOKU STORMERS)を中心に接戦を演じたものの、韓国に攻撃を封じられ、53-50で敗れた。

日本は世代交代へ課題

日本の若手にとっても初めてのアジアパラ競技大会。金メダルを期待されていた中での敗戦で、号泣する若手もいた。

中谷英樹ヘッドコーチ。25年4月に就任したが、長くビデオアナリストとして日本代表を支え続けてきた 写真・秋冨哲生

大会を終えて中谷英樹ヘッドコーチは、「大きな国際大会でプレーをすることが初めての体験だった選手が多い中で、自分たちがやりたいことをやるのが想像よりも難しいことを感じたと思う。その点については非常に良かった」と収穫を口にした。

東京パラリンピックの準決勝敗戦時は「貢献ができなかった」と号泣した橋本。代表としての自覚と責任はそこがターニングポイントだった 写真・秋冨哲生

また橋本は「3点差で負けた事実は認めなければならないし、全員が危機感を持たないといけないと思っている。 ロスの後のブリスベンで今のメンバーで戦えるかといったら、ほぼ不可能に近いと思った。全員が自信を持って生き生きとプレーできるような環境作りをしていきたい。先輩の力を借りながら、うまく世代交代できるよう頑張っていきたい」を危機感を持った。

韓国は将来のパラリンピック出場へ意欲を高める

日本が若手中心とはいえ、橋本や草場隆治(1.5/FUKUOKA Dandelion)といった世界トップレベルの選手が出場することから、韓国は対策を練って今大会に臨んだ。

キャプテンのLEE Seonghui。次の目標はまず「来年日本で開催されるアジア・オセアニア大会で、前回3位のニュージーランドに勝つこと」 写真・秋冨哲生

キャプテンのLEE Seonghui(3.0)は、「橋本選手に対して人数をかけて封じる練習をしてきたが、それがハマったのかもしれない」と勝因を話した。

弟のPARK Ucheol。日本で長くプレーしているおかげで、日本の車いすラグビーファンからも人気を博している 写真・秋冨哲生

2014年の仁川大会にも出場しているPARK Ucheol(2.0)は、「久しぶりのアジアパラだが、やっぱり楽しい。試合は本当に苦しかったけど、勉強になった。アジア各国で車いすラグビーが盛んになれば、韓国も強くなれる」。

兄のPARK Seungcheol。 Ucheolとともに兄弟そろって日本語はかなり上手!「日本に勝てたことも、金メダルも本当に夢みたい」 写真・秋冨哲生

副キャプテンを務めるPARK Seungcheol(1.0)は「キャプテンとUcheolを中心に、作戦や戦術をいろいろ研究しているのが、少しずつ強くなってる理由の一つかなと思っている。これから韓国はもっと強くなるので、パラリンピックに出て金メダルを目指してみたい」と意気込みを語った。

SeungcheolとUcheolは兄弟で、日本のキャプテン・乗松聖矢(1.5)や草場が所属する日本のクラブチーム「FUKUOKA Dandelion」でも長くプレーしている。普段はチームメイトである草場たちと今大会で対戦したことについて、「いつもふざけ合っている仲間がライバルになるのは不思議な感覚だけど、楽しかった」と口をそろえていた。

タイはアジアパラを通してさらなる競技普及へ

タイは、元車いすラグビー日本代表で今大会の日本代表選手団団長を務める三阪洋行氏を中心に、普及を行ってきた国の一つ。

AINTHARANUT Thanakan。「練習がまだ日本や韓国のチームのレベルには達していない。帰国したら、これまで以上にチームワークを高めていきたい」 写真・秋冨哲生

初めての大きな国際大会を終え、タイ代表のキャプテンを務めたAINTHARANUT Thanakan(3.0)は「今回は銅メダルだったので、次は銀メダルを目指したい」と次なる目標を話すと、
同じくキャプテンを務めたWONGUTHAI Gritsapong(2.0)は「今回銅メダルを獲得したことで、間違いなくタイでも車いすラグビーという競技をもっと知ってもらえるようになると思う。パラリンピックは、すべてのアスリートにとって夢の舞台。いつか必ず、タイ代表もパラリンピックに出場したいと思っている」と宣言した。

WONGUTHAI Gritsapong。「初めての出場でメダルを獲得できて、本当にうれしいしとても誇らしい」 写真・秋冨哲生

アジアの車いすラグビーは、新たなフェーズへ

スタンドは連日たくさんの応援で埋まった 写真・秋冨哲生

今大会の車いすラグビーは、事前にチケットが完売状態。地元の学校の生徒などを中心に大きな声援で埋まった。
日本が追いかけられる時代から、アジアが切磋琢磨する時代へ。車いすラグビームーブメントは新たな章が始まった。

公式リザルト

決勝
https://results.apg2026.org/#/discipline/WRU/results/O.TEAM4—35070—–.FNL-.000100–

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